マルサン倶楽部の会員の皆様より「お味噌に関する『おばあちゃんの知恵袋』&『裏ワザ』」について多くのアンケートを頂きました。ご意見が多かったものを掲載しております。
調味品としてのみその役割はなんですか?
みそ料理の香りには食欲をそそられますが、なぜですか?
魚や肉の生臭みがやわらぐのはなぜですか?
みその魚臭抑制因子
1.みそ固有の香気成分による抑制
みそそのものが本来持っている香気成分に、魚臭の消臭や抑制効果があります。
2.加熱処理により新たに生じた成分による抑制
みそ固有の香気成分による抑制に加え、みそをつけて加熱処理することで、香気成分が常温状態に比べ多く揮発します。この香気が魚臭抑制効果を高めています。加熱処理をすると、みそのアミノ酸、還元糖によるメイラード反応が同時に行われ、生成したカルボニル類、ピラジン類のような揮発成分により、ダブル、トリプルの魚臭抑制効果があります。また、同じ発酵醸造調味料の酢、みりん、酒よりも強い魚臭抑制効果があります。
*ピラジン類・・・一般に加熱食品の香ばしい香りやコゲ臭、焙煎臭の本体成分
(参考例)
イワシを水煮したものと、豆みそで煮たものの香気成分をガスクロマトグラフィーで測定した結果、水煮イワシ⇒12成分、豆味噌煮イワシ⇒23成分が検出され、みその香気成分が加わっていることが分かります。成分としては、フルフラール、フェニルアセトアルデヒド、4-ビニルグアヤコールの香気成分であり、これらの香気成分が水煮イワシの生臭さのマスキング(消臭効果)に関与しているようです。
3.みそコロイドの吸着による抑制
さば、イワシ、こい、マトンなどのクセのある材料を料理する時に、みそを使います。さばのみそ煮では、さばを濃い目のみそ汁程度の煮汁で煮ると、みその香りは減少しますが、さばの生臭みはすっかり消えているはずです。 みそは水に溶かすとコロイド状になって、加熱するとコロイド粒子の結合がおき、結合しながら臭い成分を吸着して、ちょうど包み込んだ状態(マスキング)になるため、生臭みが弱くなります。 みそ汁のだし材に煮干しやクセの強い雑節がよく合うのもこの特性のおかげです。 魚や肉は、少し鮮度が落ちると臭みが強くなります。こんな場合も、みそを使って調理すると、おいしく食べることが出来ます。
【一口メモ】
コロイドとは
みそ成分の小さな粒が水に分散する状態
みそ煮魚におけるマスキングに効果的なみその種類とは
みその種類は、米みそ、豆みそ、麦みそがあり、中でも豆みそ、麦みそが魚臭の抑制・マスキングという見地から良い結果となっています。(香気ガスクロマトグラフィー測定結果より)
出典:(株)日本フレーバー技術研究センター
魚臭の抑制(4)「味噌、醤油の効果」
みそには食品を保存する効果があるのでしょうか?
油とみその相性がいいのはなぜですか?
素材につけて楽しむ料理が多いのはなぜですか?
みそはそのままで材料や料理に加えても、流れることはありません。この性質を利用して、みそを塗りつけたり、練りみそにしてのせたりすることができます。いちばん素朴な使い方である、みそ田楽やおでん、五平餅など、この方式でみそを使う料理はたくさんあります。
出典:みその科学 生活の科学シリーズ25(廃版)
肉をみそ漬けにするとやわらかくなるのはなぜですか?
マリネード処理効果(保水性、肉内酵素の活性化):酸性状態での肉のやわらかくなる働き。
1.筋繊維、結合組織が膨潤するため肉がやわらかくなります。使われる調味料としては、酢、レモン汁(pH 2.8)、ブドウ酒(pH 4.5)、油、香辛料、醤油(pH 4.7)、みそ(豆みそpH 5.2、米みそpH 5.5)など。
2.酵素の効果(生みそ中のプロテアーゼ)
出典:食肉・肉製品の科学 森田重慶
みそが体に良いといわれるのは、なぜですか?
<メラノイジンにおける酸化防止効果>
メラノイジンは、他の物質と反応性が高く、酸化しやすいものと結合することで、酸化反応を抑える働き(抗酸化性)を持っています。
*メラノイジン・・・アミノ化合物(アミノ酸やタンパク質など)と糖が化学反応して発生する物質。もとの大豆には含まれず、発酵・熟成の過程で生まれます。そのため、みその色も褐色になってきます。みその成分としては、メラノイジンの他、ビタミンE、イソフラボン、大豆サポニン等にも抗酸化の働きがあります。
酸味の強い調味料と合うのはなぜですか?
コハク酸、乳酸などの有機酸、アミノ酸、ペプチドなどのタンパク質成分が緩衝能に影響します。酸の中でも、緩衝能はリン酸が著しく強く、グルタミン酸、アスパラギン酸などの量によっても左右されますが、みそはpH5.5~7.6の範囲内で高い緩衝能を示します。
調理時にpHの異なる材料と合わせても、相手のpHによる影響は、最小限度に止められます。緩衝能は、豆みそが最大で、白みそでは低く、米みそはその中間程度です。
みそは調味料以外でどんな食べ方がありますか?
ひしおみそ・・・外観は、しょうゆの諸味に似ていて、光沢のある赤褐色をしており、大豆を炒ってから使用するので特有の香味があります。
金山寺みそ・・・大豆や大麦の麹を使い、ナス、生姜、サンショウの実等の野菜類を使ったなめみそです。
みそ汁などで数種類のみそを混ぜるとおいしくなるというのはなぜですか?
昔から、根深汁(ネギのみそ汁)を飲むと風邪に効くというのはなぜですか?
中国では、医食同源といって、日常口にする食べ物と薬とを明確に分けず、そのときの体調に合う食べ物を取り入れて体調を整え、病気を防ぐという伝統的な考え方があります。食品には、体を温める食品(温熱食)と体を冷やす食品(寒涼食)に分けられます。それによると、下記のとおりになります。
温熱食・・・1.みそ 2.チーズ 3.ウーロン茶、紅茶
寒涼食・・・1.枝豆・豆腐 2.牛乳 3.緑茶
よく見ていただくとお分かりかと思いますが、同じ大豆を原料にしたみそは、温熱食であり、枝豆、豆腐は、寒涼食となっています。
チーズは温熱食ですが牛乳は寒涼食、ウーロン茶(半発酵茶)や紅茶(発酵茶)は、温熱食ですが、緑茶は寒涼食となっています。
一般の食品は、微生物などで発酵する事により、消化され易くなり、温熱食になると言われているようです。
みそに美白効果があるというのは本当ですか?
遊離リノール酸によるメラニン合成(チロシナーゼの生成)抑制作用。
みそエタノール抽出物は、アルブチンに匹敵する効果があります。
熟成期間の長いみそほど、メラニン合成に対する強い抑制作用を示します。(トリグリセリド⇒遊離リノール酸+グリセリン)
遊離リノール酸は、アルブチン同様、チロシナーゼ活性に直接阻害するのでなく、色素細胞内でチロシナーゼの生成を抑制する事で、メラニン合成を抑制します。
「みそ汁は朝の毒消し」という諺(ことわざ)がありますが、どんな意味ですか?
タンパク質を豊富に含んでいる事から、健康が維持できるという諺(ことわざ)です。
タンパク質を豊富に含んでいる事から、健康が維持できるという諺(ことわざ)です。
*イソフラボン、サポニン・・・配糖体の一種。大豆の苦味、収斂味などの風味に影響を及ぼす成分。強い抗酸化作用をもち、ガン予防や生活習慣病予防等に効果的といわれています。
出典:みそ健康づくり委員会
「みそ知り博士のQ&A100-56」
二日酔いになった時、みそ汁がいいといわれているのはなぜですか?
みそに含まれるコリンは、肝臓に入ったアルコールが脂肪になって蓄積するのを防ぐ働きがあります。そのため、みそ汁を飲むと、余分な脂肪を付けることはありません。
*コリン・・・細胞膜を構成するレシチンの構成要素のひとつ
脂肪肝の防止、老化防止の働きがあると言われています。
*レシチン・・・リン脂質という脂質の一種、細胞膜の主成分
本来溶け合わない水分と脂質を混ぜ合わせる乳化作用があります。
出典:みそ健康づくり委員会
「みそ知り博士のQ&A50」
みそに放射性物質を取り除く効果があるというのは本当ですか?