【第2回】大豆と〇〇シリーズ 「大豆と筋肉」
大豆は、畑のお肉としてたんぱく質が豊富に含まれる食品です。
筋肉は体重の40%を占め、エネルギー代謝にも関わるので、筋肉を維持することは大事であるため、日頃から体を動かす活動は行っていきたいものです。その筋肉を作るために必要な栄養素は、構成要素でもあるたんぱく質です。大豆に含まれるたんぱく質は、アミノ酸スコアも動物性の食品と変わらないため、しっかり補充することで体作りに貢献します。第2回目の大豆と◯◯シリーズでは、「大豆と筋肉」の関係についてご紹介します。
筋肉に作用する、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の違い
筋肉が大きくなるメカニズムと筋肉が細くなるメカニズムは違います

肉や卵などの動物性たんぱく質は、筋肉を大きく太くするのに貢献しますが、植物性食品の代表的な大豆たんぱく質の特徴といえば、筋肉が細くなってしまうのを抑える作用があることです。筋肉を大きくしたい場合は、筋肉に負荷を与え、刺激を与えることが必須ですが、同時に筋肉を壊す働きも行われています。効率的に筋肉を大きくしていきたい場合は、筋肉が作られる量が壊される量よりも多くする必要があります。そこで活躍するのが、大豆たんぱく質ということです。筋肉が壊される働きを弱めてくれることで、運動の効果を高めることができます。
筋肉を動かさないと筋肉はどんどん細くなる

運動しないから関係ないと思っているかもしれませんが、筋肉は使わなければ徐々に減少していきます。筋肉が減少すると代謝も低下し、日常生活での動作に負担がかかる可能性があります。例えば、ちょっとした階段の上り下りや重い荷物を持つことが難しくなったり、体のバランスが崩れて転びやすくなることもあります。
そこで、筋肉の減少を防ぐために大豆たんぱく質を取り入れることをお勧めします。大豆たんぱく質は、筋肉を維持するために必要な栄養素が豊富に含まれており、筋肉が壊されるのを軽減してくれます。具体的には、豆腐、納豆、豆乳などの大豆食品を日常的に摂取することで、筋肉量の低下や筋力の低下を防ぐことができます。
また、大豆たんぱく質は健康全般に良い影響を与えることが知られています。例えば、コレステロール値の改善や血圧の管理、骨の健康維持にも役立ちます。さらに、大豆食品には抗酸化物質が含まれており、老化防止にも寄与します。
筋肉ムキムキを目指さなくても、健康で快適な生活を送るために、適度な運動とバランスの取れた食事は重要です。特に年齢を重ねるとともに、筋肉量の維持は健康維持の鍵となります。ぜひ、大豆食品を積極的に取り入れ、筋肉の健康をサポートしましょう。
まとめ
大豆は「畑のお肉」として知られ、たんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質は筋肉を作るために必要であり、大豆に含まれるたんぱく質は動物性食品と同等のアミノ酸スコアを持ち、体作りに貢献します。大豆たんぱく質は筋肉の破壊を抑え、運動の効果を高める助けとなります。大豆食品を積極的に摂取することで筋肉量や筋力の低下を防ぎ、健康全般にも良い影響を与えます。特に年齢を重ねると筋肉量の維持は健康維持の鍵となるため、大豆食品を積極的に取り入れましょう。
※参考文献Abe Tら,Int J Endocrinol. 2013; 2013:907565.Hashimoto Rら, J Med Invest. 2015;62(3-4):177-83.二川 健, 大豆たん白質研究 Vol. 16(2013)

監修
小川 静香先生
管理栄養士・公認スポーツ栄養・博士(医学)
日本女子大学家政学部卒業後、東北大学大学医学系研究科運動学分野を修了。企業では、豆乳や大豆の機能性に関わる研究に従事し、管理栄養士として幅広く活動してきた。趣味の筋トレとトライアスロンのトレーニングにみそや豆乳を活用し、体作りや大会に向けたコンディショニングを実践する中で、スポーツ栄養の重要性を感じ、アスリートへの栄養サポートを実施。最近では腸内環境を専門的に学び、その知見をいかした栄養セミナーなども行っている。