日本の気候風土に合わせ
手間をかけて土づくりから
岩崎:大豆生産でのこだわりや工夫されている点はありますか。
安川:私たちは畝を立てて種をまき、大豆を育てています。畝を立てずにまく方法もありますが、梅雨が続くと種が水浸しになり、芽が出ないことがある。手間はかかりますが、台風や梅雨など水害が多い日本の気候風土や水田を利用した土地に合わせて水はけの良い土づくりをし、畝を立てることで、きれいに芽が出るよう工夫しています。
岩崎:全国的に農家の高齢化が進む中、JA滋賀蒲生さんでは安川さんのような若い方が農業を牽引されていて感心します。
藤澤:7年程前から集落で農業を行う営農組合の法人化を進め、現在20集落以上が法人化を果たしました。その中で20代~40代の若い農業者も増え、意見交換会や研修会などを通じて横のつながりを大事にしていることが農業を活性化させているようです。
安川:仲間と知識を共有し、柔軟な発想のもと広い視野で物事を見ることができるので、積極的に新しい挑戦ができますね。
日本で大豆を育てることで
日本の食生活を守りたい
岩崎:弊社は、味噌や豆乳など大豆を主原料とした加工食品とともに今日まで歩んできました。栄養価の高い大豆は日本人が昔から食してきた食材で、弊社は大豆加工食品のお届けを通じて「健康で明るい生活へのお手伝い」という企業理念を実践しています。その中で皆さんに大豆づくりをお願いしてきたわけですが、大豆生産の意義をどうお考えですか。
安川:今、日本で食べられている大豆の約8割は輸入大豆なので、自分の手で国産大豆をつくっていることに誇りを感じます。米、小麦、大豆という2年3作のローテーションを繰り返し、毎回ほ場づくりから行うのは大変ですが、食料自給率を考えるとやはり日本の生産者が海外の大豆に負けない大豆をつくっていく必要があり、やりがいをもって取り組んでいます。
藤澤:蒲生では昔から水稲の裏作として小麦、大豆をつくってきました。滋賀県は大豆の弱点である湿害や雪害などが他に比べて少ない土地柄でもあり、全国的に見ても大豆の産地として成長を続けています。